神様からの詫び状


救えるものなら とうに救っている
両手をいっぱいに広げて 抱きしめようとするのだが
どうしようもなく拙い この指から
こぼれ落ちてしまう 涙もあるのだ


ひとつの青
ひとつの花
ひとつの鉱物
そして
あまたの生命
全てのものを 丹念に創りはしたが
それでも
起こるべきでない時に 起こるべきでない選択をし
かけるべきでない時に かけるべきでない言葉を
投げつけてしまう輩もいるのだ
何の痛みも知らぬまま。


許しておくれ。
実を言うと おまえのたましいを目にした時
あまりにも美しいので
恵まれぬ他のものに 少しばかり分け与えてやってしまったのだ
それがこんなにも 長く重く おまえを苦しめることになろうとは。
だが、見ておくれ
おかげで世界はこんなにも優しく 笑顔に溢れることとなった
おまえのこころだよ。


もしも あまりにも苦しくて
やめたくなった時は
窓を開けて 外をみてごらん
二度と揃わぬ雲
二度と出会わぬ群衆
蘇る音 流れ込む風
そのすべてが
他でもない おまえのためだけに
こさえられたものなのだよ。


それは わたしからの詫び状 そして招待状
いつか本当に 世界のすみずみまで堪能し
満足をもって肉体から離れるとき
誰も知らぬ道を通り こちらへ来るといい
おまえ好みのクッションと
おまえ好みの菓子と
おまえ好みの茶を 用意しておこう
そして、気の向くままねぎらい合い 時にののしり合い
世の 全てのものについて語り合おう
あまねく痛みを くぐり抜けてきた
おまえの言葉こそが わたしの
畏れとなり 癒しとなり 希望となるのだ。




05.11.01 不遇の人の日記を目にして、つい

 我の拙さを顧みず、筆が動いてしまいました。あまりにも不運続きの方の話を聞くと、どう言葉を返していいかわからなくなる。出るのは何とも歯切れの悪い、唸りだけ。
 それでも何か放てるものがあれば……と、もやもやを形にしたのがこの詩です。最後の3行をどう締めくくるのかで七転八倒しました。結局、何を伝えたかったのかを突きつめられていなかったのです。
 公開した2006年5月7日現在はこれを書いた時とは少し考え方が違っていて、たとえ他人からは「カワイソー」と判断されそうな出来事の連続でも、本人にとっては全く別の色合いを見せるのだろう、と。途方に暮れてしまうくらい、ひと1人の人生は複雑ですね。

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